2010年11月23日火曜日

「家」の崩壊と地域の再生

つい最近まで「家」は継ぐものであり、代々男子が、男子がなければ養子を迎え、それでもなければ「両もらい」ということまでして「家」の存続を図ろうとするのが大多数の常識であった。なかには就職した会社の辞令で日本各地を転々とし、定年後故郷に戻ってきて家を継ぐ人もあった。

それほど地縁血縁にこだわった日本人がいま大きく変わろうとしている。

人間が生きていくためにはまず職業が必要である。その前に志望する職業をおぼろげながらイメージしそれに合った大学に進学する。進学した時点で地縁が薄れ就職した会社でさらに薄れ、場合によっては決定的に途切れる。長男でも就職先の地で新たな地縁ができ、そこに定着する人もいる。

結局昔は密接だった「家」と職業は、農業・林業・水産業以外は完全に別々のものになり、特に商業は「店」の崩壊とともに家とは無関係のものになった。

選んだ職業が住む地を決め、先祖代々の地にあまりこだわらないのが顕著になってきた。親も自分の住む地に長男を呼び戻すとこを強制しない。むしろ嫁姑の関係がいやであえて1人暮らしを選ぶ人も多い。もうこの趨勢はだれも止められまい。

それで気がかりなことは二つある。ひとつはよぼよぼになった両親の介護はどうするかということ。もうひとつは父祖の地の先祖代々のお墓はどうするかということだ。
前者は有料老人ホーム・介護保険という便利なものができた。難問だったお墓の問題も「移転」という新商法が登場して、「解決」できた。

とても合理的になったが気になることも多い。核家族には親世代の知恵というものが伝わりにくい。また価値観の軸が失われて、歴史というものを体で身につけることも、伝統を大切にすることも失われる。地域のコミュニティが育ちにくい。これらは決定的に日本という国を変えていく様な気がする。民族の無国籍化グローバル化である。

ヨーロッパは伝統を重んじもっとも大切にする。アメリカは歴史が浅いためか余り伝統を重視しない。日本は立派な歴史を持ちながら顧みない。アメリカのイケイケ進歩主義がそろそろ行き詰まりをみせ、その追従をしてきたイケイケ日本もここにきて再構築の時を迎えている。そのキーワードが「地域」「歴史」「伝統」であると思う。

1 件のコメント:

  1. 確かにアメリカの「地域」「歴史」「伝統」を重視しない
    イケイケ進歩主義、経済主義の悪い点を追随し過ぎてますね。

    何でも小学校で英語の必修化がされるとか。
    早い時期から、英語に親しむのが目的と言います。

    でも、本当は『ことば』や『所作』などを通して、そこに含まれる
    『日本文化』に慣れ親しむような授業の方が必要かもしれません。
    そこは「地域」「歴史」「伝統」の宝庫です。
    それをして、自分が何故(ここに)生まれて来たのかが
    意識されやすく、郷土愛も育まれやすいでしょう。
    ひいては『幸せのあり方』が観えてくるかもしれませんものね。

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