2011年11月18日金曜日

米中対立をあおりTPP推進世論形成にむかう大メディア

TPPについてはインターネットとそれを察知した大メディア(最近は「マスゴミ」と呼ぶことが多くなりました)、農業界を中心とした政治家たちの動きにより、国民的議論が起きています。

TPPのひどさが新聞テレビしか見ない人たち(一部の人は「B級国民」と呼びますが、ブログ主は好きではありません。「眠れる人たち」など適当な呼び方がほしいところです)にもだんだん浸透してきました。

TPPを推進したいNHKをはじめとする大メディアは、ますます反対が多くなる世論を誘導する為に、APEC以後、作戦を変更してきました。それが「アメリカを怒らすと怖いよ」作戦です。
TPPは単なる貿易だけではなく、日米同盟を深化させる目的をもつ。(=困窮しているアメリカを救わないと、強大な軍事力が怖い)と。

NHKは報道の姿勢をとりながら、間接的に脅しをかけてきます。
その論調---
1)アメリカは今後アジア・太平洋地域を重視するといってきた。
2)アジア地域では中国が軍事的影響力を強めてきている。
3)中国は国際秩序(=アメリカルール)を守らないし、尖閣諸島など圧力を強めてきている。
4)日本はアメリカの軍事力なしには国土を防衛できない。
5)アメリカは疲弊した経済を立て直すため、日本のTPP加盟を望んでいる。
6)TPPで日本の国益を損なっても、アメリカの利益であれば従ってもらわねばならない。(TPPに例外はありえない)
7)アメリカの機嫌を損ねては、国土を守れない。
8)だからTPPには反対するな。

これからこの手の刷りこみが、政府・マスゴミ(言ってしまった)・財界・御用学者(元官僚も多いので「センセイ」と奉ることはない)・マエハラなど一部の政治家(売国奴という古い言い方がぴったり)が連係して、だんだんひどくなるでしょう。

逆にいえば、TPP参加表明に反対する国民的ムーブメントが強いということを示します。

日本は先の大戦で、各地の大空襲ヒロシマ・ナガサキなど、国際条約を無視した無差別攻撃でアメリカなど連合軍に敗戦。戦後はアメリカの占領・民主憲法の制定・高度経済成長・ドルショック(ニクソンショック=ドルの金兌換の停止)・オイルショック・バブル崩壊・リーマンショックとアメリカの影響なしには考えられない歴史を歩んできました。

日本はいま不況・デフレ・大震災・原発放射能被害の拡大に悩んでいます。TPPは先のその悪影響が明らかになってきたにも関わらず、そんな疲弊した日本に「たとえ不利でも加盟せよ」という圧力、本当に、アングロサクソンには情けがないものです。それにもまして、マスゴミをはじめ財界・政治家・官僚など「国益=国民の利益」を考えない売国奴が多いのには、わかっていてもあらためて驚かされます。

日本に防衛力がないのだからしょうがないという人がいます。本当でしょうか。
違います。自衛隊を軍事力とすれば世界の5本の指に入るでしょう。(予算は世界第2位です)。ただ核兵器だけは持たないので、圧倒的に弱いと思われていますが、国際世論の中で日本に核兵器で脅しをかけてくる国があるとは思えません。(この辺はいろいろなご意見があるでしょう)

中国が自国を防衛するときにアメリカの第7艦隊だけでなく、世界最大の米軍事基地である日本を意識しないわけにはいきません。第7艦隊には核ミサイル装備されているといわれ、中国全土が射程距離にあります。

ドイツやフィリピン・韓国にはかつては日本と同じように大規模な兵力を持つ米軍基地がありましたが、いまや日本が世界最大なのです。いざとなれば、あっという間に中国所要都市が占領できる兵力を持っていますし、なにより今は米には詳細な偵察衛星や無人の爆撃機があり、ゲーム感覚で「敵国」を攻めるだけのハイテク兵器があります。

中国の立場としたら、それらのハイテク兵器を支える、レーダーや通信をかく乱する「サイバー攻撃」は自国を守る最大の対抗策であり、人命を直接殺傷しないので、当然の対応だと思われますが、NHKはこれを脅威だと最大限に報じます

地理的に近く、しかも今は米国を抜いて最大の貿易相手国であり、これからも成長が予想される中国を仮想敵国とする報道の論調は、日本の国益に本当に叶うのでしょうか。
米国は国際金融資本に牛耳られていて、凋落傾向にあるとはいえ、いままで日本の貿易相手国として、繁栄を支えてくれた友好国であるし、これからも日米安保の条約の中で有事の際の後ろ盾になってもらう、大事なガードマンであります。(もちろん思いやり予算をはじめ経費は負担させていただいています)
しかしオバマ大統領が豪州での演説で、なぜ中国を仮想敵国扱いし、アジア太平洋地域をイラク・アフガンに代わる最重要地域と名指しできているか、を読み解かなければなりません。

米はいままでも経済的窮地に陥った時は軍事に活路を見出しています。もっといえばドルを強くするため、国際金融資本が莫大な利益を求めるため、やらせの疑いがある9.11をきっかけにアフガニスタンに侵攻し、イラクのフセイン大統領を殺害し、アフリカにおいてドルからの脱却を目論んだリビアのカダフィ大佐を殺害する為、「反政府勢力」を送り込んだ疑いさえあります。

歴史をさかのぼると米国の侵略の足跡は陰謀の歴史です。
メキシコからテキサスを奪うやり方は、まず植民地に自国民を植民させ、その「保護」名目での宣戦布告で占領するという手口でした。
またスペインからキューバやフィリピンを奪取するきっかけとなったのは、現キューバのハバナ湾に停泊中の、米海軍メイン号爆発を契機に勃発した米西戦争です。この「事故」では、乗員260名が犠牲になりましたが、きわめてやらせの疑いの強い「事故」です。
さらにハワイ王国を乗っ取り自国に吸収したり、パナマ運河を建設し自国のために利用すべく、「反乱軍」を送り込み、コロンビアからパナマを独立させ、パナマ運河地域の米主権を獲得しました。
さらに戦後の南米傀儡政権の製造もつとに有名です。

これらの陰謀には「やらせ攻撃」や「やらせ民主勢力」「民主化応援の為の軍派遣」という手口があり、これらは最近まで使われていた常套手段であることに注目しなくてはなりません。

さらに米は戦争に消極的な自国民を納得させるため、財閥の所有するニューヨークジャーナルなどの新聞が重要な役割を果たしました。

世論形成の手段はいまでも有効で、いわゆる良識ある国民や正義を信じる市民に対する有力な方法として、日本でも用いられています。これがマスゴミで、大手のテレビ・新聞社がこれにあたります。

無難な話題のときは、「良識」を前面に出して信用を獲得しますが、国を左右する重要な問題にはとたんに偏向した論調になります。今はそれが「対米従属」であり「TPP推進」であり、「中国偏向報道」「米国は大事報道」であります。
国民からの受信料で経営しているNHKがこれに加担しているのは、初めは信じられませんでしたが、今では確信できます。

正しく判断する為には自らの目を養うことと、新聞テレビに頼らず自らの手で情報を集めることしか防ぐ方法はありません。いまは歴史的に未曾有の国難を抱かえる重要な時です。決して成り行きに任してはなりません。

2011年11月16日水曜日

日本の外交の稚拙さ~TPP事前協議で早くも露呈

日本の外交の稚拙さは、太平洋戦争勃発時の有名な事件でも知れ渡っているが、その影響は国運を左右するので、ことは重大です。

TPPについて、政府はなんとかハワイのAPECまでに「交渉参加」に間に合わせようと、シナリオを作ったが、民主党内のプロジェクト・チームでも国会でも猛反対を食らいました。
それでも、なんとかしようと野田総理は直前に苦肉の策で「TPP交渉参加についての各国との事前協議」とニュアンスをかえて、アメリカをはじめ参加各国に表明しました。いかにも日本人的らしい「言葉の綾」です。

ところが、その「言葉の綾」は外国人には通じにくいようです。しかも官僚が作文を書いて事前にシナリオを書いたりするので、首脳の言葉は重要ではありますが、言葉はアドリブもあるので、事前の官僚の作文を正式表明と受け取られない場合もあります。


今回APEC後にそれが露呈しました。

以下衆議院議員・気象予報士斎藤やすのりBLOGから引用します。
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TPP交渉での嘘

ハワイでの日米首脳会談に関する米側の発表資料で、野田総理が『すべての物品、サービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』と述べたとされています。
これを外務省は『そのような発言を野田総理が今回の日米首脳会談において行ったという事実はない』と言っています。

しかし、日本テレビで13日に放送された『バンキシャ』にはこんな映像が‥。

カーク通商代表との会談を前に経産官僚と打ち合わせしている時の映像のようです。
別の映像からこの文章の全文が判明。

※米国 ロン・カーク通商代表

TPPについて
○TPPについて、国民的な議論の末、日本を発つ直前に、野田政権として交渉参加を決断した。

○震災復興が最優先される中、なぜ今決断するのか、との議論もあったが、TPPへの参加は、日本自身の利益であると判断した。

○第1に、TPPを、アジア太平洋全域を高いルールでカバーする地域秩序に育てること、そのプロセスに自ら関与することが、日本の国益である。

○第2に、高いレベルの自由化という試練を乗り越えることが、日本自身の成長力を高めることにつながる。

○日本は、非関税措置を含め、全の品目・分野を交渉の対象とする用意がある。交渉の中でしっかり議論していきたい。

○交渉に正式に参加するには、各国の承認が必要だと承知している。特に貴国との協議を精力的に進めて、出来るだけ早く交渉参加したい。今後の具体的な進め方について伺いたい。

これが政府・経産省が書いた文だと大変な問題だ。確かに野田総理は『すべてをテーブルに載せる』とは言っていないだろう。しかし、この文章を元に経済産業大臣が米国の通商代表に『すべてをテーブルに』と言ったのではないですか。だから、米国側は『野田総理は確かに言っていないが、政府は言っていたから、文章は訂正もしないし、削除もしない』のではないですか。

そもそも交渉の参加を前提にした協議参加表明ではないはず。これでは2枚舌外交と言われても仕方ない。私が政府に訴えているのは『今すぐに米国のホワイトハウスのHPを削除しろ』。削除させないのは我が国が『すべての物品、サービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』ことを否定しないことになり、交渉参加国に誤った情報を出すことになる。

TPPの議論にコミットしたばかりなのに、早速、交渉の場にいる人々が情報を隠し、嘘を言っているとすれば、こんなものは進めるべきではない。
以上引用終わり*********************************************************************************

この斉藤やすのり議員のブログの通り、間違って伝わっているのに訂正しないということは、政府の正式の意思として総理より官僚の作文が上位にあるということになってしまいます。これはゆゆしきことです。

総理と官僚がわかってやった可能性もありますが、どうやら野田総理は本気で「言ってない」と弁明しています。

野田総理の無知ぶりは、国会中継で佐藤ゆかり議員のTPPの中のISD条項に関する質問に「よく知らない」と答えたことでも露呈しており、国の命運を左右する総理としては完全に不適格と思われます。

まだまだ普通の日本国民の中にはTPPが単なる貿易協定と思っている人が多いようです。
実体は、国内法より協定を優先する治外法権で、米多国籍企業が日本国を訴えることもでき、さらにその判定を米が行うという、ひどい茶番の仕組みがTPPにはあります。

現にカナダはNAFTAで、汚染物質であるガソリン添加剤規制を撤廃され、日本もTPPでBSE牛検査規制撤廃や遺伝子組換作物表示義務撤廃など、国民の健康のみならず、地方経済・環境・文化・医療・サービス・雇用より企業の利益活動を優先するひどい協定です。

早ければ一年後には国会へ上程する可能性も高いのですが、それ以前にTPP交渉参加させないことを重点に、注目していきたいと思います。

(インターネットではあふれるような情報がありますので、ぜひとも新聞テレビだけではなく、インターネットでもお調べください。私も10/26の本ブログで語っていますので、よろしく)

2011年11月7日月曜日

キセノン検知!「臨界」?「自発核分裂」?

11月2日から3日にかけて、東電が福島第1原発2号機で「キセノン検出と臨界の可能性」を発表し、臨界(=核分裂が連鎖的に起きる状態)をとめるホウ素を注入しました。
そのあくる日に原子力安全保安院が「自発核分裂(=自然に起きる核分裂)ではないか」と臨界を疑問視する発表をし、それを受けて東電が「やっぱり自発核分裂でした」という発表をして一旦締めくくりました。

この経緯がいかにも漫才のやり取りを聞いているようで、不謹慎ながらそういう光景を想像して思わず笑えましたが、話の次元が科学的すぎて、一般の人は検証するすべを持ちませんので、おそらく「ああそうか、でも胡散臭い」と思われた方は多いと思います。

ここではちょっと噛み砕いて説明します。

核分裂:例えばウラン235は中性子にぶつかって、ヨウ素135とイットリウム91に分裂し、中性子を数個放出します。あるいはクリプトン92とバリウム141に分裂して中性子を3個放出など、他にいくつかのパターンがあります。数字は原子核の陽子+中性子の数を表しますが、もともとウラン235は自然に分裂する速度は極めて遅く、半減期(自然に分裂してその数が半分になる期間)は7億年ですが、中性子を吸収すると分裂を始めます。

ヨウ素135の半減期は6時間半と短く、さらにその生成物であるキセノン135は同9時間と短いのにもかかわらず、最初の東電の報道のときキセノン135を1立法メートル当り10ベクレルも検出しました。

3.11により、短期間で2号機も含め原子炉内部では冷却不能に陥り、核燃料の大部分が溶けて、本来の燃料棒の形=ウラン235の周りをジルコニウムのケースに収めている状態をとどめなくなって、混然一体となってどろどろの状態(メルトダウン)になっていると見られています。ウラン235はそのままではあまり自発的に分裂しない物質ですが、中性子を当てるだけでとたんに手のつけられない暴れん坊になってしまいます。
つまり、分裂後にさらに複数の中性子を出すので、倍々で分裂が連鎖的に起こり、制御できない状態が核爆発です。

本来の原子炉で制御をするのは燃料棒の間に差し込んだ制御棒といわれるもので、これが連鎖反応の程度を制御しています。1の反応を1以下にすると自然に原子力の火が消えてしまい、1以上にすると先の連鎖反応が起きてとんでもないことになるので、うまくその間で調整し、運転を保っているのです。

それが制御できないと真っ先に心配するのは核爆発で、3月12日や14日15日に起きた1~4号機の爆発はそれが心配されたのですが、そのとき実際に起きたのは、高温の燃料棒により水から発生した大量の水素による爆発でした。(規模が格段に大きかった3号機は核爆発という説もあります。)

しかし混然一体となった燃料の塊というか液体みたいなもの中には、プルトニウムやストロンチウムなどいろいろな副生成物もまざっていて、そのなかに中性子を出す核種もあります。その中性子が引き金になって起きて連鎖反応が始まる事態が非常に重大であり、それを報道ではほとんど触れませんが、その可能性を一番心配しなくてはなりません。

その主たる痕跡がまさしくキセノンであります。
ウラン235に中性子があたり、分裂をしてヨウ素135、さらにキセノン135が発生するという核分裂がもっとも典型的であるので、東電はいち早く臨界=核分裂が連鎖的に起きる状態(最悪が核爆発)ではないかと心配して、珍しく隠蔽せずに発表しました。

ところが直後に原子力保安院がそれを否定しました。本来はそれを否定せず、「こういう可能性もある」と表現した方がもっともらしいのですが、神様のように否定しました。そんなに素早くわかるものなんですかね、ぐちゃぐちゃの核燃料ミックスなのに。しかもさまざまな核種があるのに、「キュリウムの自発核分裂が原因だ」と、ほぼ断定しました。キュリウムは自然には存在しない超ウラン元素で、元のウラン燃料が中性子を吸収したりベータ崩壊しながら生成しますが、割合としてはごく微量です。それより圧倒的に多い燃料主体ウラン235に、自発的に発生した中性子がぶつかり、先の反応でキセノンが発生したと考える方が自然です。

まあ、東電がその後、「実はキュリウムでした」と訂正した後、天の邪鬼のように保安院が「臨界の可能性も否定できない」と真逆のことを言って、まるで漫才のようでしたが、事が重大だけに笑ってはいられません。今後の分析を待つとのことになりました。

正直に言わない人たちなので、自分で調べないと不安です。とくに原子炉内はどうなっているか分からない状態なので、余計そうです。早く収束してほしいのですが、まだまだ先は長そうです。