日本が今一番陥っているのは、出口のない不況感だ。原因はリーマンショック以来の世界的不況。
輸出大国である日本は不況のアメリカに対して、貿易黒字を続けている。これが円高の原因。アメリカに思うようにものを言えない日本政府は対策もぎりぎりのところでしか出せない。円高解消の根本対策は国内に流通する通貨を増やすこと。欧米は不況打開策として通貨流通量を増やしているのに、なぜか日本はそうしようとしない。(8月にやっと10兆円増やしたが焼け石に水で円高対策にはほとんど効果がなかった)
基本的に企業は銀行からお金を借りて設備投資をし、生産→販売で利益をあげて銀行へ返済する。すなわち日々銀行にお金が戻ってくる。銀行は常態として極めて低い金利ではあるが日銀からお金を借りているので、日銀へ返済する、つまり全国から日銀に日々お金が集まってくるわけだ。これを市場に戻さないとどんどんデフレになっていくので、貫流する。これが通貨から見た経済活動であり、この流れが大きいと景気がいいということになる。
銀行はこの流れを促進する大事な役割=新規融資という役割を担っているのだが、最近の傾向は建設・不動産関連、中小企業など業務不振のところが多く、大企業も先行きの不透明感から新規投資を差し控える傾向が強く、結果的にお金の流れは滞り気味になる。いわば悪循環だ。
政府は景気をよくしようとするなら、循環を良くするひと押しをすればいいが、菅首相は経済音痴なのか「雇用・雇用」と叫ぶばかりで、景気を良くする政策をいまだ打ち出さない。
手っ取り早く景気を良くする方法として社会投資があるが、自民党政権が作った「ムダな道路・不要な建物」というイメージが強く、財政再建という世論の声に思い切った策が取れない。実際には新しいビジョンをもった次につながる有用な使い方、たとえば農業構造変革のための投資や地球温暖化対策の太陽光発電所誘導策、NPOの求める有用な施策支援など考えればいろいろある。景気対策・温暖化対策・雇用対策と一挙三得で皆が喜ぶだろう。
官僚べったりのマスコミが「このままではギリシャのように国が破たんする」という誤った報道をするので、ほとんどの国民はマスコミのいうことをうのみにして、財政再建しなければとんでもないことになると思い込んでいるのだ。
実際にはギリシャのように外国へ国債が流れていないので、破たんの心配はない。ただ歳出の30%くらいが国債償還に充てられ、実際に有効に使われる予算が少ないので、徐々に改善しなければならないことは間違いない。
その思いが特に官僚に強く菅首相が突然「消費税増税」を挙げた背景には官僚の働きかけがあった。もし参院選で民主党が勝利すれば官僚の思惑が当たったかもしれないが、皮肉にも庶民の思いは「まず歳出削減からやれ」ということにあって大敗してしまった。これから6年間は政策膠着になりかねない。
ともかく増税は景気を良くすることには逆行する。ここしばらくは財政再建より新しいビジョンのメリハリの聞いた社会投資をするなど景気対策を優先するのが、正しい選択である。
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