2010年9月17日金曜日

忘れかけられている東海大地震


私が住んでいる670戸のマンションで「防災委員会」が立ちあげられ、東海大地震を想定した対策を練りつつある。そのために貴重な経験値である「阪神淡路大震災」を学ばなければならない。
地震直後木造老朽家屋は相当数倒壊し、特に1階で寝ていた人は梁や屋根に押しつぶされて、5000人もの人が死亡した。
その対策はわが名古屋市でもほとんど実行されていない。いまのところ「耐震診断を無料でしますよ、その結果危ないものは助成しますよ、限度は2/3で60万円程度です。あとは自分で出してください。」という程度だ。
危ない家に住んでいる人の大半は家と同様くらい「古い」。昭和20年から30年位に建てそのころ20代から30代となれば、今80歳前後である。だいたい夫に先立たれ、年金暮らしであろう。そんな人が何十万円何百万円の自己負担をし、複雑な申請をして、来るかもしれない(来ないかもしれない)地震の対策をするであろうか。ほとんどないであろう。
素人でもわかる典型的な危険な木造家屋に住んでいる人に対して、市は積極的に対策を取ろうとしない。そのような年代の人は、人生をかなりすごしてきているので、死んでも悔いは少ないとでも思っているのであろうか。
答えは簡単、耐震診断をするまでもなく老朽化している家屋には計画的に無料補強をすべきだ。耐震診断する費用で最小限の改修はできる。また建築士会などの団体やNPOからボランティアを募り、耐震補強の講習を受け、市から材料費を支給した上で計画的にやっていただくとか、方法はいくらでもある。
幸いにして大変民主的な市長に変わったばかりだ。市長選でかかげたマニフェスト実行の邪魔をする議会のリコール運動の最中であるので、落ち着いたらぜひ実行してもらいたいものである。

2 件のコメント:

  1. 以前、工務店から相談を受けた物件では、構造設計者が名古屋市が出している「地震マップ」を知らずに、学会が出している資料を基に予測震度と設計用水平加速度の値を採用しており、現実に即さない計算をしていました。

    「あなたの街の地震マップ」
    http://www.city.nagoya.jp/kurashi/shoubou/bousai/jishin/nagoya00002789.html

    実際には、このマップすら知らない方は多いのではないでしょうか。行政と専門家の姿勢は、やはり今後益々問われるでしょうね。今一度、身を引き締めます。

    マツナガ

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  2. マツナガさんいらっしゃーい。(笑)
    行政もときどきは、やろうとしたことと実際の結果を照合して、軌道修正していかなければいけないと思います。法律は作ったら作りっぱなし、結果の統計はとっていてもほとんど活用せず、が今の実態と思います。
    専門家は(私も含めて)プロとしての社会に対する責任感が乏しいと思います。士会とか家協会とか事務所協会とか社会に対する存在感がほとんど無いのが気になります。

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