2011年9月27日火曜日

とんでもない判決~陸山会事件

昨日26日、東京地裁で陸山会事件・西松建設事件の判決が出された。大久保元秘書・石川衆院議員・池田元秘書にそれぞれ執行猶予付きの有罪判決が出たのだ。

唯一の証拠とされた自白も検察の取り調べ方法の違法性から、裁判所でも証拠採用とならなかったので、検察も訴因変更する位、この事件は証拠に乏しく、ほとんどの人がおそらく無罪と考えていたので、この有罪判決には驚きが走った。

判決要旨から理由を抜き書きしてみる。

【西松事件】
1)新政治問題研究会と未来産業研究会は西松建設が社名を表に出さずに政治献金を行うために設立した政治団体であり、西松建設の隠れみのにすぎず、政治団体としての実体もなかった。

2)小沢事務所の秘書から発せられる本命業者とすることの了解はゼネコン各社にとって「天の声」と受け止められていた。

【陸山会事件】
1)被告側が主張する「同年10月初め~同月27日ごろまでに小沢から陸山会が借りた合計4億円」を書いたものとすると、それを担保にする形をとって小沢元代表名義で銀行融資を受け、転貸された4億円を記載しなかったことになり、不自然

2)石川被告が4億円を同年10月13日から28日まで前後12回にわたり5銀行6支店に分散入金したことなどは、4億円を目立たないようにする工作とみるのが合理的。4億円を原資とする土地取得も04年分報告書に載ることを回避しようと隠蔽工作をしたとも推認される

3)陸山会は04年10月ごろ、原資が明らかでない4億円もの巨額の金員を借り入れ、さらに石川被告自ら、水谷建設から5千万円を受領した。小沢事務所は常にマスコミのターゲットになっており、これらのことが明るみに出る可能性があったため、4億円借り入れの事実を隠蔽しようとしたと推認できる

4)しかし預かり金と言いながら「預かった理由や返済時期、5団体が分けて預かる理由や金額も分からなかった」などと述べ、著しく不自然、不合理で到底信用できない。

5)土地の本登記を05年に繰り延べるため、仲介業者との交渉をした際、大久保被告らは購入原資を既に確保し、当初の契約内容通り04年10月29日に残代金を完済し、所有権移転登記を受けることができた。完済後も仮登記にとどめるのは契約の経緯として極めて異例

6)当時の大久保被告は小沢事務所の資金確保を図る立場だった。大久保被告も石川被告と同様、4億円借り入れがマスコミの関心の対象になることを危惧していた。

7)そのような時期に原資不明な4億円もの資金を使って高額な不動産を取得したことが明るみに出れば、社会の注目を集め、報道機関に追及され、5千万円の授受や、小沢事務所が長年にわたり企業との癒着の下に資金を集めていた実態が明るみに出る可能性があった。本件は、これを避けようと敢行された。

全ての判決理由は推論であることがわかる。特に水谷建設から1億円の裏金献金を受け取ったことは検察が立件不可能で贈賄立件を見送っていたことを、証拠もないのに積極的に裁判所が自ら認定したということは、前代未聞のことである。繰り返すが、検察が起訴をしていないのにあえて取り上げて、有罪にしたのである。

陸山会事件などは論理にもなっていない。仮に各秘書が隠そうとするなら、たった3か月の期ずれをすることで世間を欺けるかどうか、子供でもわかる。

そもそも「農転の許可が下りないと所有権移転が出来ない」という法律上の決まりを無視して、「仮登記でなく本登記を10月に出来たはず」なんてことを言うのは、裁判官のくせに法律を理解していないことはなはだしい。
法の番人たる裁判官の名に恥ずかしい。

一番あってはならない事は、裁判所は証拠第一主義であったはずだ。自白が唯一の証拠であるときですら無罪という法理がある。「疑わしきは罰せず」であるはずのものが、「疑わしくないが罰する」という判決なのである。

裁判所がこのような判決を下した理由は、ひとえにこの10月からの小沢一郎衆院議員の審査会起訴による特殊な裁判をにらんでのことだ。要するに現在民主党党員資格停止処分を受けている小沢氏に復権してもらっては、裁判所も困るのである。正義の番人とは昔のことで、原発訴訟、洪水訴訟など、行政に深く絡む裁判では、裁判所はほとんど行政側に有利な判決を続けてきた。それは裁判所の人事や給与などすべて行政に影響を受けているからである。

小沢氏は官僚主導排除を強く主張している。これが官僚には脅威なのだ。当初検察が小沢氏を起訴しようとしたが、断念。法の規定を洗いざらい活用して、審査会で起訴決定し異例の検察審査会による裁判が始まる。どう考えても証拠が全くなく、有罪に持ち込めるわけが無いが、印象操作目的でマスコミが騒ぎ、党員資格停止に持ち込み、間接的に政治的制約を受けることになった。巧妙にリレー式で小沢氏に制約をかけていることに成功しているのだ。この状況をもう少し続けたいことが、今回の大久保秘書らの有罪判決になったのである。将来無罪になるのはわかりきっていても、最高裁まで時間が稼げればいいのだ。

しかしこの判決のおかげで、司法が官僚に癒着していて、正義を果たすどころか、複数の偽証言やねつ造があれば誰でも有罪に持ち込める国だということがはっきりした。これは脅威ではあるが、わかりやすいということでは、民主的勢力を結集できるいい契機をつくってくれたとも考えられる。

テレビや新聞を漠然と信じている考えない国民も、だんだん「おかしい」と感じられる格好の材料なのである。そういう意味では、官僚さん裁判所さんにどんどん露骨にやってほしいと思う今日この頃である。

2011年9月26日月曜日

大ナゴヤ大学授業「Thinkテレビ塔」


昨日は大ナゴヤ大学の授業に参加しました。
テーマは「Thinkテレビ塔」
昭和29年に完成された名古屋のテレビ塔は、今年の7月24日にアナログ放送の終了とと共にその主たる役割を終えました。
そしてその収益の6割を依存する電波塔使用料が入らなくなり、その存続が危ぶまれていて、その危機感から存続につながるアイデアを出そうという授業です。

現在テレビ塔を運営している会社は名古屋テレビ塔株式会社。何ともストレートな名前ですね。出資者は名古屋市と愛知県、それからNHK・CBCという初期にテレビ放送を立ち上げた放送局で、土地は名古屋市が所有、有償でこの会社に賃貸しているとのことです。
名古屋テレビ塔株式会社からは大澤社長が出席され、あらかじめいろいろお話をお伺いし、河村市長、大村知事と一緒に、各パネラーのアイデアを聞いていただくという企画です。

事前アンケートでは79%の人が存続を願っており、なんとか存続する為にはぜひとも活性化のアイデアが必要です。

そしてさらに問題なのが、耐震(免震)や改装にかかる費用が15億円かかるということです。市や県が出資している関係からこの制約は避けて通ることができないうえに、市や県も財政難ですので、これに頼ることなく存続できるアイデアがGOOD!

ただ個人的には、いくら財政難とはいえ、名古屋のシンボルとして欠かせないものである以上、市や県が貸し付けなどで一時的に負担するのが筋であるし、金額が市の予算1兆4000億の0.1%そこそこなので、いざとなったら訳なく実現できるということを頭の片隅に置きながら、一市民として自ら考えるという意義の深いこの授業に参加してみました。

現状として利用者が少ない、治安が悪い、魅力が無い、バリアフリーになっていない、樹木がうっそうとしすぎているなど、多くの問題点が指摘され、そのうえで、8つのグループに分かれプレゼンがありました。

各セクションからの提案
1.名古屋市庁舎・県庁舎のラインとつながる敷地の位置づけから、一体利用できるものを
2.地下街は栄駅から久屋大通公園の下、このテレビ塔までずっとつながっている。これとテレビ塔の関連付けをつけて、動線の確保を
3.イベント例えば、ウエディングやテレビ塔対決(!?)など。ウエディングでは菓子まきや垂れ幕としてテレビ塔を活用(2グループから長者町ゼミのメンバーがそれぞれプレゼン)
4.ドッグラン・サイクリング、ジョギングコースの整備
5.いらなくなったテレビ塔アンテナを材料に記念グッズを販売し、200万市民に1000円で買ってもらえば、20億円となり、必要経費を確保。シリアルナンバーを付ければ人気沸騰する(武藤隆先生)

私が事前にテーブルで話していたのは、地下街に穴をあけて緑を見せ、かつ相互に行き来できる仕組みをつくる。空中回廊で人の行き来に多重動線を、というものでしたが、残念ながら3のテレビ塔対決という濃い(?)長者町ゼミメンバーの提案にプレゼンの主役を奪われてしまいましたが(苦笑)

それにしても、今のままでは本当にさびれて、存続派も解体派に移行してしまう危険性があるので、早めにアイデアを固めて、活性化したいですね。

出席した河村市長から「(テレビ塔を含む久屋大通公園周辺の)道路を無くす。学園祭を毎日催す。トラや動物を走らせる!」なんて奇抜なアイデアが出されましたが、「道路を無くす」と言うのは栄に繰り出した人の動線を、公園と分断しないということから、大賛成です。
市の管理する道路ですので、これが実現できる可能性は高いですね。

気候のいい初秋の1日、本当に意義深い日でした。


PS:あとでテレビ塔のホームページをのぞいたら、春秋分の1週間くらい後に、展望台から特別な景色が見られるとあって、今年は9月30日ころに展望台へ登ればそれがみられるかもしれません。
http://www.nagoya-tv-tower.co.jp/top_img/eveningsun.html

2011年9月24日土曜日

豆から味噌を作る

このごろは食べ物がどんどん工業生産品になり、普段口にしているものでも、何から作られているのかわからない事も多いと感じるようになりました。

たとえばマーボ茄子の素、豆乳なべの素、一夜漬けの素など、ほとんど野菜と混ぜるだけというものも多くなって、インスタントもいよいよ来るところまで来たかという感じです。

そんな流れに異議を唱えるという主張は、、、ことさらなく、何にでも興味を持つ、大ナゴヤ大学長者町ゼミの仲間で、豆から味噌を作るという集まりがあって、いよいよ昨日は完成ということで、試食をしてきました。

ジャーン!これが出来上がり写真です。
やや白っぽいのは米から作った白味噌。あとの二つは見た目はほとんど区別できませんが、一つが青豆から作った赤味噌、もう一つが普通の大豆から作った赤味噌です。

3つともとっても美味しくできました。市販の味噌よりまろやかで、味はしっかりしているのに塩辛くなく、そのまま舐めてもおいしいので、まさに酒のつまみになります。
市販の味噌ではくどくて、とてもそのまま舐めて味わうには塩辛すぎます。女性陣にトン汁に仕立ててもらい、さらに味わい深くいただくことができました。

赤味噌の方はまだまだこれから熟成して、さらに香ばしくなってくそうです。あの岡崎名物八丁味噌は3年もかけて熟成するらしいです。

酒のつまみに少しいただいて帰りたかったのですが、残念ながらさらに熟成を目指して、もう一度味噌返しをして寝かせ、楽しみを次につなげることになりました。

一度到達すると、興味はさらに別のところに移るのが、メンバーのいいところ。次なる謀りごとが進む予感が、、、します。

2011年9月22日木曜日

「政府紙幣発行で国内需要拡大」が日本の経済を救う

企業は生産を拡大する為に銀行からお金を借り、何年間は借りた金に金利を付けて返済する。
すなわち生産高から原価を引いた利益を、金利以上に稼がないと返済できないという訳だ。
さらに税金分も見込まなければならない。

企業の生産効率をアップさせれば、利益率は低くてすむが、皆が同じことを考えるので、結局モノ余りを招く。これが供給過剰となり値引き合戦となってデフレの一因となっている。国内需要でのGDPは伸び悩んでいる。

これまで輸出に頼って、GDPを確保していたが、長年の貿易黒字がかえって災いとなって、現在も続く未曾有の独歩円高となっている。

為替は実取り引き以上に投資により左右されるので、市場がアメリカの景気先行きと欧州通貨危機を深刻に考えている証左だ。要するに世界中のお金が米・欧州から引き上げ、新たな投資先をもとめて、日本に矛先を向けているのだ。

東日本大震災で深刻な日本に、、と思うが、世界市場はこれまで毎年10~20兆円も貿易黒字が蓄積している日本が安全と考えるのは、当然の流れかもしれない。

世界の富が日本に流れ続けたのは事実だ。これがやがて日本に災いを及ぼすと、官僚も政治家も経済学者も考えなかったのだろうか。アメリカの巨額の貿易赤字財政赤字がなんとかなると考えたのだろうか。リーマンショックが起きて、巨額の債務を背負った米金融機関を救うために米政府がドルをじゃぶじゃぶ投入しても、まさか米はつぶれることはあるまい、とさらに米債券を買い続けた日本政府はまったくノー天気と言われても反論はできないだろう。

これほど経済無策な日銀や財務省や経済音痴の政治家連中では、今後の日本の長期展望をにらんだかじ取りを期待するのは難しいのかもしれない。

しかし確実に大きな世界経済のうねりは津波のように押し寄せ、無策では日本社会を飲み込んでしまう。
これからどうなるのかを予測し政府が有効な対策を打つしかないのである。

円高には実際のドル余りに起因するが、そのドルが信用創造現象によりマネーが拡大し、さらに投機に向かい実際以上の円高を招いているのは事実だ。
例えば投機を抑える事できれば一つの円高対策になる。投機は何度も売買を繰り返して利ざやを稼ぐ。実経済の1年分をたった5日の投機為替相場が動かしているほどだ。そのために取引に0.5%程度の為替取引税を課すことが有効な投機対策になる。要するに利ざやのハードルを高くするのだ。

有効な円高対策を今打たないと、今後円高を嫌気して生産拠点を海外へ移す輸出企業が増えるだろう。政府はこれを心配してTPPという経済条約締結を検討しているが、とんでもない。

これは日本の農業を破壊し、巨大な米金融資本により日本の財産が投機対象になり、安価な労働者の大量流入をまねき、さらに日本経済を破壊する。
輸出はGDPのたかだか16%だ。また上記の円高対策などろ出来る限りの対策は打った上で、むしろこの生産がなくなったとして最悪を想定して経済対策をした方がいい。

経済はお金の絶対量ではなく、回り方ではあるが、はずみをつけるのはお金の投入だ。これまでは役人の就職先のハコモノや需要の少ない地方空港などに使われてきて、批判の多かった土木建築など基盤整備予算は、震災復興需要、来るべき災害対策需要、再生エネルギー需要などで増強せざるを得ないし、これが景気回復のはずみ車となるのだ。

これに対する予算確保を増税で賄うのはとんでもない。明らかに景気をどん底に向かわせるのは、過去に消費税を3%から5%に上げて以降、消費税総額が却ってダウンしたという現象がこれを証明している。

建設国債は60年償還なので、1000年に一度の大災害復興に向けるのはやむを得ないという意見も多い。
その通りだが、本来日銀ではなく国に認められている通貨発行権を行使した、政府紙幣の発行がその原資としては、最も優れている。
なぜなら、通貨流通が増えてデフレ対策になり、何より円安に振れる。国際的な抵抗もあるだろうが、未曾有の震災被害と現在もつづく原発事故被害、それに未曾有の円高環境がこれを理解してもらえるだろう。

フランクリン・ルーズベルトが実行して成果を上げたニューディール政策は現代日本にも通用する。その原資は逆効果を招く増税ではなく、未来につけを回す国債ではなく、政府紙幣が最も優れているのだ。

にもかかわらず、野田政権はひたすら財務官僚のいうがまま増税路線を突き進む。いままで官僚に先のビジョンが見通せたためしが無い。

その理由は彼らは日本の利益より自省の利益、自己の地位の安泰に最大の目的があるだ。日本の国益を考えるべき政治家が、官僚の呪縛から脱して、大胆な経済対策を打つ事が、今求められている。

2011年9月15日木曜日

行き詰ったカジノ経済の為に混迷を深める世界経済

銀行は預金の8倍の貸し出しが出来る。例えばある人から100万円預金があれば、そのうち10万円を手元に残しておき、90万円を融資出来る。その融資先がとりあえずその銀行に預金すれば、またその9割の81万円を、、このように繰り返していけば、なんと8倍ものマネーを創造できることになる。

現金は紙幣という形で日銀しか発行できないが、データ上のマネーはなんと一民間企業である銀行が作り出せることになるのである。

銀行は業績を上げるために、本来の企業支援や起業支援そっちのけで、この融資枠を活用して、自ら国債や金融商品購入に血道をあげている。かつて小泉竹中コンビが政権時代進めたいわゆる「新自由主義」の影響で目先の利益を追求し、3か月ごとに評価された業績が株価に影響するのを極端に恐れるあまり、こうした金融機関の動きが重なって「カジノ経済」を作り上げているのである。

日本は平成のはじめのバブル崩壊で、この仕組みにいやと言うほど苦しんだはずである。みんなが買いに走り、上がっているうちは、その資産や金融商品は魅力があるように見える。

しかしひとたび下がり始めると、これまた止まらない。あれよあれよと資産や金融商品は見捨てられ、あっと言う間に半分くらいの価値になり、それまでの利益は吹っ飛んでしまう。

これは全く実体経済とかけ離れたあたかもギャンブルの様な金融の流れなので、「カジノ経済」というのである。

まだカジノであれば損する人もあれば得をする人もあるので、まだかわいい。これが「カジノ経済」であると銀行など金融機関が莫大な損害をこうむり、倒産すれば預金者や融資先など実体経済に悪影響を及ぼすので始末が悪いのだ。

これが2008年9月に世に言う「リーマンショック」という形で再現されたのだ。日本の金融機関も少なからず影響を受けたが、何よりアメリカ経済自身がひどく傷つき、つい先日もバンク・オブ・アメリカンという銀行が政府資金で資本強化されたにもかかわらず、業績悪化が続き3万人ものリストラを発表したなど、いまだに尾を引く。

アメリカ政府も巨額の財政赤字が止まらず、国債発行を巡って議会と対決しているが、国債償還の為に新規国債が不可欠なので、事となりゆき次第によっては国債が償還できないいわゆるデフォルトとなって、米国債を保有している国(1位中国、2位わが日本)は何十兆円もの損害を被ることになり、またそれがその国の国債評価を下げることになる。

さらに世界一の消費大国であるアメリカ経済が不況のかげりを見せて、実体経済でも日本の輸出企業を直撃することになりかねない。

欧州経済もギリシャ国債のデフォルト不安や、そのあおりでの欧州銀行の経営危機の不安からユーロも為替相場を下げている。日本が東日本大震災で大変な状況にも関わらず、円を過去最高水準まで上げているのはこういう背景があるからだ。

もちろんこの為替相場も投機的な思惑で乱高下し、ギャンブル経済の悪影響を日本ももろにかぶっているのである。

このように世界経済が、「カジノ経済」という実体を乖離したマネーの動きで、とんでもないことになっている。一部の巨大な資産家だけが莫大な利益をあげ、世界中のあらゆる国が国債という借金地獄や銀行救済、これがもとでの景気悪化に苦しんでいる。

この主犯が「信用創造」でマネーを生み出し、それが多量に投機に向かっている仕組みにあることは明白である。こんなおかしな仕組みは早晩に改めないと、国家が破綻し国民が路頭に迷うことになる。

ビル・トッテンという企業家が「アングロサクソン資本主義の正体」という著書の中で、一般の銀行は実体のお金だけしか扱わないように改める「100%マネー」の仕組みを提唱し、その手順も具体的に示している。また投機的な為替取引の危険性を早くから指摘している経済学者ジェームズ・トービンが提唱する、為替取引の売り買い双方に0.5%税金をかけ、投機的為替取引を激減させようとする「トービン税」という手法や、元日銀研究所在籍のエコノミスト リチャード・ヴェルナーが提唱する銀行に投機目的の為の融資を禁じる「クレジットコントロール」という手法もある。
これはなんとかつて日銀が小泉竹中「改革」で民間企業になる前、銀行に対して行ってきた「窓口指導」と同じ方法なのである。

日本の政府も、いつまでも惰性や省益で行政を取り仕切り、一向に大きな改革のできない「官僚行政」をやっていては、こういう世界的経済の荒波を乗り切ることはできない。経済に明るい政治家があらゆるしがらみを断ち切って、思い切った改革をしなければ日本も沈没してしまう。

根本的な原因である金融機関の「信用創造」「投機的取引」を革命的に改めないと、実体経済が取り返しのつかないことになる。

2011年9月4日日曜日

「郵政民営化」の罪と大メディアの恣意的「報道」

大メディアがやたら小泉政権を持ち上げた影響で、当時私は恥ずかしながら、小泉ファンだった。
かくもテレビ新聞の影響は大きいのである。いまだにその影響は私の身辺の親戚・知人に及んでいるのである。

私のなり降りかまわない政治談議誘導により、そのことは判明している。たとえば小さい頃私たちを近所のガキ大将から守ってくれた兄、家族ぐるみ20年来付き合っている友人、駆け出しのころから私を引きたててくれたお客様、そんな信頼できる人たちが、小沢一郎のことになると、「政治とカネ」宣伝に見事に染まっているのである。

「あんな汚い奴は政治家の風上にも置けない」「ひどい奴だ」「もう民主党なんか支持しない」等々、普段温厚な人まで豹変したように反応してくる。もう理由も何もない。根っから決めつけているので根拠を挙げて反論しようにも、取りつくシマがないのである。

小泉純一郎の場合はその逆で、異常に大メディアによって持ち上げられたのである。「自民党をぶっ壊す」「郵政民営化」で今思うとなんてことはない「印象」だけで熱狂的ファンになってしまった。

この小泉が竹中平蔵と組んで、日本をグローバル化の名目でセーフティネットのない競争社会を構築し、新自由主義のもと伝統的日本社会の絆を破壊し、日本の企業を投資の名のもとにひたすら利益確保に邁進させ、あらゆる基準をカネ儲け社会、ギャンブル社会にしたのである。

少し長くなりますが、鋭く切り込んだブログの引用により、論拠を以下に示します。
(堤堯さんの「永田町仄聞録」)********************************************************************************
「郵政改革」の真相を明かす一通の手紙
アメリカの郵政は国営が基本だ。
なのに何故、日本に民営化を迫るのか

 郵政民営化は誰のためか? 何のための解散・総選挙か? 小泉純一郎首相と竹中平蔵のコンビはいう。
 「小さな政府をつくる。郵政改革はその第一歩だ。この改革なくして日本の明日はない」
 騙されてはいけない。真相を暴露する手紙が、参院の特別委員会で披露された。宛名は竹中平蔵。差出人は前アメリカ通商代表部のボス、ロバート・ゼーリック(現国務副長官)だ。
 日付は二〇〇四年十月四日。竹中が経済財政担当に加えて、郵政民営化担当大臣を兼務することになった時点だ。
 この手紙を民主党の櫻井充が読み上げた。全文を読んでみたいと思い、翌日、新聞五紙を見たがゼーリックの「ゼ」の字も出ていない。完全無視。人を介してコピーを入手した。全文を引きたいところだが、紙幅の関係で要約する。

これがその手紙 http://tech.ciao.jp/letter.jpg

 -竹中さん、オメデトウございます。金融大臣としてよいお仕事をされた。それが新しい任務を招きました。この任務を小泉首相が貴方に託したことは、われわれにとって心強い。貴方に前と同様の決意とリーダーシップを期待します。
 保険、銀行、速配業務において、競争条件を完全に平等にすることは、私たちにとって根本的に重要です。郵貯と簡保を、民間とイコールフッティング(同じ条件)にすること、すなわち民間と同様の税制・セーフティネットを義務化し、政府保証を廃止するよう望みます。ついては以下の点で、貴方を後押しいたします。

 ①民営化の開始(〇七年)から、郵貯・簡保業務に(民間と同様に現行の)保険業法、銀行法を適用すること。
 ②競争条件の完全な平等が実現するまで、郵貯・簡保に新商品や商品の見直しは認めてはならないこと。
 ③新しい郵貯・簡保は相互扶助による利益を得てはならないこと。
 ④民営化の過程において、いかなる新たな特典も郵便局に与えてはならないこと。
 ⑤その過程は常に透明なものにし、関係団体(筆者註、アメリカの業者を含む)に意見を表明する機会を与え、これを決定要因とすること。

 この間題について、今日まで私たちの政府が行った対話を高く評価します。貴方がこの新たな挑戦に取りかかる時に、私が助けになるなら、遠慮なくおっしゃって下さい……
 末尾に手書きで「Takenaka-San」と呼びかけ、次のように結ぶ。
 「貴方は立派な仕事をされました。困難な挑戦の中で進歩を実現された。新たな責務における達成と幸運を祈念いたします。貴方と仕事をするのを楽しみにしております」
 手紙が読み上げられる問、議場から「へぇー」とか「ホォー」の驚嘆しきり。その間、当の竹中は居心地悪そうに、しきりに手で顔を撫でまわす。
 毎年十月、アメリカ通商代表部は日本政府に 「年次改革要望書」を突き付ける。毎年三月、代表部はその成果を議会に報告する。議会のさらなる要望を受けて、代表部は日本を督励・監視する。日本の「諸カイカク」は、そのシナリオに沿って行われて来た。
まさに手紙は郵政民営化担当大臣・竹中を督励する内容だ。
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要するに郵政民営化は郵貯簡保の保有する340兆円の資産が目的で、民営化しその株を買収して乗っ取れば、340兆円は自由に操れるのである。それにはさらに格付けと言うトリックがある。日本の格付けはアメリカのそれに比べて不当に低いのである。たとえば三菱東京UFJの株時価総額は4兆円程度で、シティバンクの30兆円に比べ不当に安い。その比率は1対8である。各付け会社はアメリカ大手資本の別働隊だからである。

目的は郵貯資産丸ごと買収できる乗っ取りである。

日本の総理大臣がアメリカの為に尽力したという事実は実にショッキングであるが、これが日本の米属国状態である。
戦後GHQ占領に始まりA級戦犯釈放と引き換えに、政治界・経済界・マスメディア・裏の社会を牛耳る人物を米に従わせるのを条件に権力の中枢につかせた事から、現在の日本の属国状態を延々と形成することになった。

大メディアはいまだに、米に対して独自の姿勢を保とうとする人物を攻撃するのは、そういう連綿とした流れがあるからである。

インターネット情報は、新聞テレビ漬けになって、真実の姿を隠ぺいされ大メディア米に都合のよいように洗脳された自称知識人、政治意識の高い人々を徐々に開放し、やっと真実を知ることができるようになった。

この流れは確実に広まっているが、まだ絶対数は新聞テレビ漬けの人が多いのは事実である。東京新聞のように真のジャーナリズムを取り戻した新聞はあるが、朝日読売産経毎日など圧倒的多数は国民の為ではなく、財界官僚米の為に存在する。政治家も真に国民に立った人物は少ない。それを見分けるのは真に国民に帰せられているのである。