2010年10月17日日曜日
大連滞在記
先週1週間は中国東北部にある大連市にビジネスで滞在。ずっと中国語の嵐の中で過ごしてきたので、日本語が自然と流れている母国へ戻ってきてほっとしている。
日本と違って地震のない地域なので40階50階の超高層ビルが林立し上海ほどではないにしろ、経済発展が著しい。ただ雨が少ないせいか(名古屋市の1/3)街全体がほこりっぽくビルや環境も含めて清潔感は少なかった。
4年前上海に訪問した時も感じたが日本と違って信号が少なく、人も含めてその交差や横断の方法はまさにアクロバットである。ほんの少しのチャンスを見計らって自然体でささっと移動しなくてはならないのである。走ったり急に止まったりはご法度だ。もちろんこちらは怖いので走るが、逆に運転手から見たら「なんて危険な行動をするのだ」と思われているらしい。
特に危ないのは「人優先なんだから車は止まってくれる」と思うことだ。車が止まってから渡るなんてことは考えないほうがいい。そのままの速度で突っ込んでくる。これが恐怖で立ち止まる、車はかろうじて止まるが後の車も含めて怒る、あたりまえだ、秩序を壊しているのはこちらだ。
しかし何車線もある道路であれば、一度に渡るチャンスはなかなかやってこない。そういう場合は尺取り虫の如く車線ずつ横断していくのである。中国人はこれを当たり前の如くこなしていくが、道路の真ん中で止まっていても両側からひっきりなしに車が脇を通り抜けていくのである。それもぶつかれば確実にただで済まない速度でだ。これはまさに恐怖だ。それが怖ければ完全に両側の車の通行がなくなるまで何分も待つしかない。
通常の生活レベルでいえばそれ以外にあまり違いを感じることは少ない。あたかも資本主義国家のようである。共産主義的な特徴を探すのは難しい。日本同様、一見自由な国のようだ。もちろん報道で言われているようなマスコミやインターネットに対する言論統制はあるだろうが、日常ではほとんど感じられない。
ただ閉口するのはビジネス上の会食の場合の乾杯攻勢だ。例の回転テーブルの周りに10人から15人位が座る。ときどき誰かが杯を手にし口上を述べたら他の人も同様に杯を持って、口上が終わると同時に皆で一気に飲み干さなければならない。これが他の人も同じ人も繰返し繰返し何回も続く。
これを知らない人は正直に付き合うとぶっ倒れてしまうので、ついでもらうとき杯の量を少なめにしてもらうとか、乾杯以外は飲まないようにするとか、ギブアップしそうになったら色のよく似たソフトドリンクにしてもらうとかなにか対策が必要である。私の場合はあらかじめ耳打ちされていたので、かろうじて大丈夫であった。いやはや中国でのビジネスはお酒に強くないと難しいものだ。
尖閣諸島の騒ぎが収まったあとであったためか中国人の対応はどこでも友好的であった。
特に感じたのはホテルの対応である。4年前の上海とは大違いである。トイレットペーパーの補充もシカトされたりお風呂に錆水がでたり、英語も通じなかったりしてきわめて悪い印象であったのが、水は飲めそうなくらいきれいになっていたり、急にチェックアウトすることになったが、午後6時までならキャンセルOKだったり、朝7時前のチェックアウトの際朝食時間前だったので、代わりに弁当を出されたり、逆に日本のホテルも真似してほしいと思ったりした。
最近また反日デモが起きているらしいが、実感としての反日感情は皆無である。上海に常時滞在し時々帰ってくる友人が、尖閣諸島の中国船体当たり事件の時も周辺の街の様子も人の対応も反日的な雰囲気は感じられず、日本の報道をみて驚いていたことが思い出される。
日本のマスコミも「政治とカネ」報道や過剰なデモ報道など恣意的な時もあるのでそのまま鵜呑みにしてはいけない。
経済のパートナーとしての中国の位置づけはますますその重要度を増す。いや中国ばかりでなく韓国やベトナム、カンボジアなどアジア諸国は経済的には一体的にならざるを得ないだろう。それを見据えて今後の外交を進めるべきである、とますます確信をさせられた中国出張であった。
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