2012年2月10日金曜日

破綻といういけにえを求める「金貸し」システム

2007年から2008年にかけてサブプライムローンから始まったリーマンショック、そして続くギリシャ財務問題から始まったユーロ危機は、いまや国際金融資本がギャンブルによって、実体経済に悪影響を及ぼすのを余すことなく、世界に知らしめている。

「経済は難しい」と避けてはいられない。人々が経済になすがままされているのをいいことに、一部の国際金融資本は荒稼ぎをしている。彼らは「コト」が起きないと儲からない。破綻でも戦争でもいい。平穏無事な状態は儲けるチャンスがないのである。

いまや国家を相手に金を貸し、破綻へと追いやろうとしている。国家はそもそも国民の生命財産を守る責任があるが、破綻したらそれもできなくなる。ゆゆしき問題なのだ。

そもそもお金は物々交換をもっと便利にする機能を持っているので、人間に役に立つよくできたシステムだ。ところが金融=金貸しがこれを儲けの手段にしたとたん、悪魔の道具へと変貌した。

なぜか。食糧・物品など交換に値する取引の財は有限なので、それに相当するお金はある程度一定である必要がある。ところが金利を必要とする「金貸し」は現在ある以上のお金を要求するので、借りた人は皆が保有する一定のお金から、その金利分を自ら余分に保有し返済しなければならない。高度成長で昨年より今年の方が財貨=お金が増えればそれもできる。ところが安定期=経済停滞期に入って、一定の財貨しかない場合、金利分を稼ごうとするとお金の奪い合いになる。そして誰かが破綻することになる。椅子取りゲームの原理だ。常にいけにえを要求する仕組みが金貸しの基本原理なのだ。

今の日本のように深刻なデフレが何年も継続しているような場合はなおさらなのである。
デフレとは「お金」が一番価値のある状態なので、上記の椅子取りゲームはより深刻になる。

欧米など先進国も似た状態である。モノはあふれかえっている。成長神話はもはや過去のものだ。BRICSと呼ばれる国はやや遅れて発展しようとしている。また発展途上国などは確かにモノがない状態なので、そこだけは「可能性」があるように見える。こうした国に資本が移動し、さらにこれを材料に金融資本が獲物を求めて移動する。金貸しはそれが目的化しているため、稼げればなんでもいい、いずれ破綻が見えていても、他の人が気づく前に逃げればいいだけである。

個人や企業だけ相手にしていれば、まだ自己責任と傍観できた。ところが「国債」を道具に国家まで金貸しの対象にしてきたから、放置できなくなった。

彼らがなぜ国家に金を貸す位の莫大なお金を工面できたか。それは無から有を産む「錬金術」がそれを可能にした。ない金をあるようにみせかけるそのことそのものが、もっとも問題にしなければならないことなのだ。それは「信用」という名で呼ばれるが、格付け機関をはじめそれが捏造される危険性(実はそれこそが最も端的にあくどい儲けができる方法だが)があるのだ。もうこうなったらほとんど詐欺にひとしい。

「お金のできる仕組み」の動画を参照→ http://www.youtube.com/watch?v=iqlxMp3dR7Q&feature=player_embedded

マネーシステム①お金が作られる瞬間:銀行でローンを申込み承認されたら、お金が創造されたことになる。借りた3000万円は銀行が保有していたお金ではない。住宅会社の口座のデータに3000万円が追加されただけである。マクロでみれば日本のお金が3000万円増えたということ。

マネーシステム②借りたお金は利息を付けて返済されねばならない。借りた額面はバーチャルで、返済されたとたん消滅するが、利息分はリアル。借りた人はいずれは何らかの形で社会から奪わねばならない。インフレの時はたやすいが、デフレの時は競争は激化。誰かが破産することになる。

マネーシステム③諸悪の根源は利息。近代まではイスラム教でもキリスト教でも高利貸しは禁止されていた。しかも一応実預金の1割は残さなければならないが、信用創造でリアルなお金の9倍までバーチャルに生み出せる。一般の人々だけでなく銀行そのものも収益を求めて、金融商品をあさる。

マネーシステム④その結果がリーマンショックであり、ユーロ危機である。国の借金が国債。国は税金を担保にお金を借りる。将来税金が増えればいいがそんな時代ではない。国も破綻。本来国は国民の生命財産を守る責任がある。その国が破綻するような仕組みがマネーシステム。

マネーシステム⑤結局「マネーシステムとは破産を求めてどこまでもうごめくシステムなのである。個人・会社・財団・国であろうがなんでもいい。その結果誰かが「金利」「投資収益」という形で財産が増えるが、その分誰かが破産する。仕組み上財産の多い人間がさらにその収益を積み増すことになる。

マネーシステム⑥アメリカのデモは単なる貧民のデモではない。マネーシステムの象徴であるウォール街で行動することで、この破綻創造システムに反対する若者やインテリが主として行動している。リアルなお金は有用だが、バーチャルな信用創造=破綻創造が世界中の不幸を餌食にしてうごめく怪物だ。

マネーシステム⑦この怪物の元締めが世に言う中央銀行であり、さらにIMFも犠牲者を「国」単位で求めて、破綻した国を事実上支配する。世界中の人や国を破綻させ、すべてを支配すれば目的を達する。すなわち全ての人・資産・資源が「元締めの財産」を着々と増やすべく「管理」されるのである。

マネーシステム⑧政府がいまだに「経済成長」を前提に政策を決めているのは、成長なくしてマネーシステムが成り立たないからである。理由はこれまでの通り、ゼロ成長を前提にすると金利分は、経済システムの何処からも得られないからである。金利分が破綻分である。

マネーシステム⑨日本は完全にゼロ成長社会に入っているが、それを前提にした政策は金利ゼロすなわち銀行が単にお金預かり所と化すことを意味する。しかも誰も銀行に預けなくなる。なぜなら金利ゼロで逆に預ける手数料を取られるからである。そうして怪物は餌食を海外に求めて走る。

マネーシステム⑩海外に餌食(=金利=破綻者)を求めて一時的にはこのシステムは維持されるが、需要が一巡したらもうジエンド。この破綻サイクルは怪物のように加速度的に餌食を求めて肥大化。もうこのシステムから脱却し、リアルだけのマネーシステムを構築する必要がある。もう時間はない。(了)

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