2012年2月4日土曜日

再稼働を狙う原子力ムラ

福島第一原発の事故は、政府が「冷温停止状態」と発表したにもかかわらず、日本中にいまだに災いをもたらしていることは、武田邦彦教授のこのブログでもわかります。
世論はおそらく80%位が脱原発、うち6割の50%が即時停止ないし再稼働反対と思われます。
しかし、いまだに政府は再稼働を前提にスケジュールを進めています。もちろん地元の同意が前提なので、ほぼ再稼働は無理でしょう。この4月にはほぼ全原発が停止する予定です。

自然の力が人間の浅知恵を超越していることは、地震大国日本なら過去にいやと言うほど経験してきたはずですが、日本の原発ムラ(電力会社・政府・官僚・業界・御用学者など莫大な原子力予算の分け前に預かってきた利権グループ)はあえて過去の歴史に目をつぶってきた事が判明しました。

東電は事故の2年前には巨大津波の可能性を指摘されながら、(記事)あえてその対策をせず、今回の事故につながったということは本当に怒り心頭で、当時の社長清水正孝氏はその汚名を未来永劫残すことになりました。



しかしこれは終わった話ではありません。政府が原発再稼働をあきらめない限り、停止している原発もゾンビのように蘇ってきます。現に40年の寿命をさらに20年延長できるような法案を官僚が作成し、民主党の一部がぐずぐず抵抗する姿勢をスタンスだけ見せながら(常套手段!)同じ党の野田執行部は、今国会に提出するべく、着々と手続を進めています。

機械モノはあちこちに老朽化が進み、腐食・金属疲労など人間が原理をわかっていても目が届きにくいところがあり、その一項目でも取り残すと致命的な事故につながるような原発では、「点検して不良個所を直せばいい」というたぐいの機械ではない事が、今回の事故で判明した以上、寿命を20年さらに延長できるという結論はあり得ません。

まだ事故から1年もたっていないのに、もう事故のプロセスを忘れたかのようです。一般には知らされていないのですが、事故は津波による電源喪失だけではなく、実はそれ以前に地震そのものにより、鉄塔が倒れて1次電源が喪失、冷却配管のあちこちが壊れ、津波以前にも冷却がうまくいかなかった可能性が高いのです。東電発表の507ガルでも、原発が壊れるということがわかったのです。地震は普通に1000~5000ガルが起こります。

これは老朽化との複合効果ということは「建築」の世界では常識なのに、「原発ムラ」ではいまだ35~40年前の昭和40年代~50年代前半につくられた原発が堂々と認知されているのです。

もう一基どこかの原発が事故を起こしたら、日本は終わりです。特に老朽原発が集中している福井県のたった一基冷やせなくなっただけでも、関西・中部:中国地方は放射能汚染でどうしようもなくなります。「伊吹降ろし」とよばれる季節風が敦賀湾→琵琶湖→関ヶ原を経て、濃尾平野に吹き抜けるこの季節は、岐阜・名古屋がまともに放射能の通り道になります。

思っていることをなかなか実行に移さない、お上のやることに逆らわない日本人の特性が、眺めながらもどうしようもないと言った雰囲気を作り出しています。一人一人が声を出さないと、「たぶん再稼働しないだろう」と多数の日本人が考えていても、巧妙に次々とこっそりと、忘れやすい国民の特性を逆手にとって、原発ムラの連中は「極めておいしい目をみたうまみ」を忘れられず、着々と原発の復権を狙っていることを常に監視しなくてはなりません。

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