2011年10月26日水曜日

TPP反対の理由

TPPは農業のみならず、金融、医療、雇用、サービスなど、ありとあらゆる分野にわたって、日本国民や産業に害を及ぼすので反対である。
例えば、BSE規制・自動車安全基準・農薬基準・遺伝子組換え作物表示義務が撤廃される可能性が高く、日本国民の安全に多大な影響を及ぼす。また国内投資に限られている日本のゆうちょなどの金融資産を海外投資に転用、マネーゲームに利用される可能性が高い。
さらに農業関税撤廃で国内農業は壊滅的になり、安全保障上重要な戦略物資である食糧を海外に頼ることになり、先進諸外国の例を見てもありえない事だ。
ギリシャなどユーロ圏や韓国、アメリカ自身も国際金融資本などによるマネーゲームによる為替乱高下・物価高・雇用不安・格差拡大・銀行等破綻に苦しんでおり、いわばギャンブルにより、実体経済を疲弊させている。
マネーゲームに対する対策を練っていかねばならないのに、これを助長するようなTPPが結ばれたら、東日本大震災復興、長期にわたるデフレ等重要な課題を抱えている日本は二度と立ち直れない。「カネ」と「商売」が最大の価値基準となるTPPで国境も無くなるが、日本文化やコミュニティもなくなる。
輸出産業に悪影響、日本だけ取り残されるといっても、最も輸出産業に影響を及ぼすのは為替であり、きょうも最高値を更新するほど、勢いは止まらない。関税の2%3%の問題ではない。また日本・アメリカで貿易高の90%を超える位の協定なので、実質は日米協定であり、取り残されるというものではない。
またTPPにより、中国は日本より他国を重視するようになるので、却って貿易に支障が出てくる。むしろASEAN+日中韓3カ国の方が将来性が高いと言える。
TPPは一旦交渉に参加すれば、撤退することは外交習慣上あり得ない。従って、いまここで不参加を決断すべきである。

以上官邸のHPの 意見箱に投書しました。

2011年10月18日火曜日

日本のゆかいな「お仲間」たち

政治・官僚・財界・メディア・司法が結束すれば、世の中を自分たちの思うままに、効率よくカネ儲けでもなんでもできる。邪魔なのは国民と選挙制度。これは不確定でどうしようもないが、新聞テレビなど大メディアに弱いので、うまく情報操作できれば完璧。いまのところうまくいっている。

選挙によって政権が変わるのが不確定要素だったが、民主党をもどうにかコントロールできるようになった。キーポイントは財務省。ここは官僚の中の官僚、全省庁の生殺与奪のカネを握っているので、絶大な権力がある。菅氏に続いて野田氏もうまく官僚主導体制に取り込めた。代表選は議員取込でOK。

司法は三権分立の建前があるが、裁判官も人の子、出世欲は人一倍。これを握っているのは最高裁であり、司法官僚である。正義の味方ぶって原発・公害・薬害など行政裁判で国民の側に立とうものなら、一生出世はおぼつかぬ。それでも以前には骨太の裁判官がいたものだが、最近はからっきし官僚化。

それでもジャーナリストが国民側に立って、正義の為に悪代官を裁くのでは、という期待は持たぬ方がいい。そんなリテラシーのあるジャーナリストは少なくても大メディアにはいないと思った方がいい。三権分立も憲法もよくわからない記者、疑問を持たない記者、横並びばかり気にする記者が多い。

記者も人の子。やっぱり社からよく思われて出世したい。デスクも役員には逆らえない。大メディアも官僚に飼いならされてしまった。記者クラブのせい?情報欲しさのせい?機密費のせい?行政に関する報道姿勢を見ると皆横並び。批判精神がない。ただ誰から指示されたのか特定政治家の陥れはする。

正義の味方といえばかつては検察、なかでも特捜部は花形だった。いまや違法取調べ、やくざまがいの脅し、ねつ造のイメージが定着。批判の嵐の中で特定政治家を陥れるのは断念、秘書の裁判のみ継続するも、有罪立証は困難とみられたが、ここでとんでもない裁判官が登場。東京地裁の登石裁判官だ。

裁判では自白偏重も冤罪の元なので証拠第一主義が当然とされてきたのに、その証拠も自白もないのに「推認される、証人の証言が正しいと思う、このストーリーが自然である」というだけで有罪判決。しかも裁くべき政治資金規正法の期ズレという些細な罪状を贈賄罪にすり替えてしまった。

この東京高裁の登石裁判官の行為ほど、日本の司法に対する信頼を揺るがしたものはない。日本全国誰でも罪に陥れられる可能性がある。全部の日付時間に対して自分のアリバイを記録しないと、たった2人の証言で有罪とされるかも知れない。これは脅威だ。今回は小沢氏という政治家が狙われた。

小沢氏は官僚主導を政治主導に換えて、天下りなど行政の無駄遣いをなくすなど、政治家が民意に沿って官僚をコントロールしようとして、狙われたのである。大メディアは国民に小沢氏に対する負のイメージを焼き付けるのに躍起となり、検察は罪に陥れるのにしゃかりき、ついに司法まで加担。

原発事故で東電が独占企業にも関わらずメディアに年800億円を遣い、官僚や御用学者、前政権党ともズブズブの関係であることが次第に明らかになった。その強力な財界・官僚・大メディア仲間の威力がTPP推進に向かおうとしている。TPP=市場原理主義で国民生活はぼろぼろになる。

ゆかいな「お仲間」たちの実態を観察するには、TPPにおける官僚(にあやつられた政府=中枢は一応政治家)・大企業・大メディアの連係プレーがお勧めです。

特に新聞・テレビたち大メディアの扱いをみると、おもしろいように意図がみえて、笑えてくること請け合いです。

2011年10月15日土曜日

トンデモ「放射線副読本」が出来た!

遅ればせながら、放射線に関しての小中学校の副読本ができました。
文部科学省のホームページから入れます。

少々遅い気がしますが、これでも政府としては精一杯なんでしょうね。
でも一番この情報をいち早く欲しかったのは、福島県の人々なんです。7か月も放置とはちょっと長すぎました。国民の健康被害を少なくする義務を持つ政府に対しては、もっと批判されてもいいと思いますが、日本国民は本当に従順です。

それはさておき、この副読本で先生や子供たちに正確な知識が伝わるかどうか、検証してみました。
これは小学校児童用。

■放射線は遺伝子を破壊し、ガンの原因になる危険性が高い、という記述はほとんどなく、逆に一度に100ミリシーベルト以下の放射線は、それだけではガンにならないということまで書いている(P12)

これはとんでもないことです。「安全デマ」そのものです。
このほかに全般に「放射線は身の回りに広くみられ、暮らしに利用されている」など安心させる記述が半分以上を占めます。現在の様な緊急事態に、原発安心読本の様な記述は、健康被害を防ぐ趣旨から言って、むしろ百害あって一利なしではないでしょうか。

■内部被曝に対する危険性を具体的に説明していない

「放射性物質を電球に例えると放射線は光です」(P9)「放射性物質は減っていくもの」(P10)「石碑に放射性物質が含まれる」(P12)とまるで注意するべきものがなんであるか、ピントがぼけています。
何よりも「埃・水蒸気と共に空気中に飛散した放射性物質は、雨などにより再び地上に降ってくる。それは埃・ちりなどに含まれている」だから、マスクをしなくてはならないのです。それを説明せずただマスクをしなさいでは、地上に積った土埃の危険性は見えてこないと思います。

■原発ないし原子力発電所という記述が一切なく「放射性物質を利用している施設」とあいまいにしている

まだ政府は原発を推進しようとしているのでしょうか。このような隠蔽はあくまでも原発にこだわる官僚たちの思惑が見えて、気味が悪くなります。子供たちにも原発の危険性は広く伝えるべきです。

■退避・避難する時の注意点「正確な情報を基に行動する」は正しいのですが、誰の情報を正確と判断するかという表現が見られません。

まさか福島第一原発の事故で、政府や報道機関による情報隠蔽がわかった今でも、新聞・テレビを信じなさいと言えるのでしょうか。

答えは「大本営発表はあてにしない」「自分で調べなさい」「インターネットを活用しましょう」「外国の報道に注意しましょう」ですが、政府の作った副読本に書けるわけないですよね。それはわかりますので、先生や親が経験をもとに、子供たちに真実を伝えてあげるしかありませんよね。

結局やたら余分な事が多く、肝心なことが伝わりにくいですね。

「放射線は怖い。その放射線を出し続ける放射性物質を体内に取り込むことは、体の細胞の遺伝子が至近距離で攻撃されるので、最も怖ろしいことだ。放射性物質は埃と共に空気中に飛散したり、草木に付着する。ある程度はイメージできるものなので、よく注意しなさい」ということを、5年後10年後に若い大切な命を損傷しないために、大人たちが最小限伝えるべきことなんです。
そして本当のところは、空間放射線量が高い場所、放射性物質が散らばっている場所からは、絶対子供たち妊婦さんたちを避難させるべきです。

政府は「直ちに健康に被害が無い」から、チェルノブイリの周辺の強制避難区域と同じ汚染区域でも放置しているとしか思えません。
閣僚・官僚たちは被害が明らかになった頃には、どこかへ雲隠れしている算段なのでしょう。

もう政府・官僚・大手メディアを当てにせず、国民が直接声を大にして、こんな状況を変えて行くしかない気がします。

2011年10月1日土曜日

今日ハ長者町映画館

昨日は大ナゴヤ大学長者町ゼミが主催する「今日ハ長者町映画館」というイベントに参加しました。2007年から始まった名古屋を舞台にしたショートストーリーのコンテストで受賞した作品を上映するもの。

今日は第1回受賞作品3本の上映です。

①「カヲリの椅子」

円頓寺を舞台に痴呆老人を収容するグループホームをテーマにした作品。たち振る舞いでは普通の社会ではなじめない痴呆老人であるカヲリが、もと住んでいた円頓寺で昔の幸せを取り戻すかの様なはしゃぎぷりに、周りを取り巻く人たちは意外そうに戸惑います。最後のシーンで公園でカヲリが座っていた椅子に、「私のいるべきところ」を暗示させています。(横山善太監督)

出だしがグループホームだったので、暗い作品を予想されましたが、かえって明るいカヲリに救われた思いでした。人は生まれ育った町への愛着は、一生残るのでしょう。

②「街灯りの向こうに」

結婚を目前にした娘が名古屋に帰ってきて、母の計らいで久しく疎遠だった父と、思いがけず二人で過ごす時間を持った。

何から何まで結婚相手と正反対の仕事人間の父に、テレビ塔に連れられて日暮れの景色を見る。それは昔幼いころ、同じように父に連れられ眺めた景色だった。子供の目にはもう暗くて隠れた山を、父は「見えないけどそこにあるんだよ」と言ったことを思い出した。

彼女はあらためていまも続く父の思いを感じて、そっと父の手を握った。そこには彼女が大好きな彼の手と同じぬくもりがあった。(山本亜希監督)

同じような年頃の娘を抱える身として、ちょっとリアルでくすぐったい作品でした。

③「熊の神」

近未来の世界は、核戦争が終結して北半球が氷と雪の世界への変わり果て、日本は軍隊が統治する軍事国家になっていた。食料も電気も不足する中、病気の母を抱える少女が、恋人である一人の将校から、いよいよ名古屋も見捨てられ、軍が南へ移動することを知らされ、母親か彼女か一人しか連れて行かれないと宣告され悩む。

父を亡くした彼女が悩んだままお墓参りに行った時、大きなヒグマの姿をした熊の神に出会う。熊の神は死んだ幼児を抱えていて、彼女は亡骸を埋葬する。そのとき熊の神に「墓守」を言いつけられた夢を見て、自分の取るべき道を悟った。母は南へ移動する日の直前に息を引き取ったが、彼女は恋人にこの地に残ることを宣言して、別れることを決意した。(山本亜希監督)

いまの時代を思わせる暗さがあり、以前だったらただの空想物語と受け流したストーリーだが、深刻さを身を持って感じてしまった。

ショートスト―リー名古屋は今年で第4回を数えるに至っており、その映画を見るのは初めてだったが、どれも思いがけず、見応えのある映画になっていて驚いた。特に2本目の作品の父親役を奥田瑛二が好演していて、さらに左右分割した作像テクニックもあわせて、舌を巻く出来だった。

今日10月1日は第2回と第3回が上映される予定です。(詳しくはこちら