2012年3月17日土曜日

瓦礫の全国拡散に反対するのは非国民!?

先日野田総理自ら関東大震災の瓦礫は横浜で埋め立て処理されて、山下公園になったとのエピソードを紹介していました。阪神淡路大震災の時の瓦礫2000万トンは大半が近畿圏で処理されたこともあわせて考えると、本来大量の瓦礫をわざわざ遠方で処理するのはいかにも不合理のような気がします。

それを思うと、政府が執拗に被災地の瓦礫処理を、沖縄はじめ全国に拡散しようとしていうことが、いかにも不自然な動きにみえます。
しかもマスゴミ(本来の国民のための報道機関ということを忘れ、政府のプロパガンダ機関と化している、主に大手の新聞テレビを中心としたメディア)も盛んに、「それに同調しないのは、被災地の人に冷たい」という心情に訴え、さも「非国民」のようなニュアンスさえ生まれています。

なぜそういう動きになっているのでしょうか。東日本大震災で生じた瓦礫は阪神淡路大震災とあまり変わらない2300万トンです。量が多くて処理できないということではありません。

では処分する用地がないということなんでしょうか。確かに三陸沿岸部は切り立っていて平地は少ないように思われます。しかし津波の被害の土地は少しでも高い方がいいということもあり、政府が言うように瓦礫は安全なら、高台造成の案がでてもいいような気がします。

では廃棄物処理をするプラントがないということでしょうか。いいえ、そういう方針はハナから立てていないというのが実際のところでしょう。準備期間が必要としても、もう一年以上が経過していて、とっくに一つや二つできてもよさそうです。とくに放射性物質を集塵するフィルターが必要なので、他の自治体でもこれからプラントを止めて改造を必要とするのです。

雇用の側面からもその処理プラントを地元に建設する方が合理的で、実際に要望する町村も出てきています。また廃棄物を拡散するのが、地元の希望でないと表明する自治体もあります。

いろいろ考えるに、政府の目的は「放射能の分散」しか、理解できません。福島県の瓦礫はさすがに対象外ですが、それ以外の被災地でも、いまもって続いている福島第一原発の事故の影響で、放射能が拡散されています。

瓦礫のうち再生にしろ、廃棄にしろ放射能はなくならない。例えば焼却にしても灰や大気に拡散しないようにフィルターでキャッチするにしても、いずれは濃縮されて残ります。
震災前にすれば低レベル放射線廃棄物として厳重に、さらに低レベルでも半減期が長いTRU廃棄物(長半減期低発熱放射性廃棄物)は特に厳重に扱う必要があると定められていました。そのくらい長期にわたって管理されるべき物質が、各自治体に分散した後は簡単に埋め立てても何してもいい、とは余りにも極端すぎます。

低レベル放射線被害や内部被曝の可能性、また被害の拡散が危惧されるので、本来は拡散しないで閉じ込め、厳重管理するのが国際的な基本ルールです。

かつて日本は太平洋戦争を遂行するために、国民に多大な犠牲を強いるため、「国の為」を御旗にして、国策に従わないのを「非国民」と呼び、心情に訴えられたら弱い多数の国民性を利用してきました。マスゴミの宣伝がその拡散に特別な力を発揮しました。

いまは「心情」に流されず、実情をよく研究して、被災地の為にも、勿論自分たちの土地の為にも一番良い方法を議論して、早急に結論を出すことです。

もう二度とあの戦争のときのような、国民が国民を監視し非難し合うような狂気の状況だけは避けたいものです。

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