日本の外交の稚拙さは、太平洋戦争勃発時の有名な事件でも知れ渡っているが、その影響は国運を左右するので、ことは重大です。
TPPについて、政府はなんとかハワイのAPECまでに「交渉参加」に間に合わせようと、シナリオを作ったが、民主党内のプロジェクト・チームでも国会でも猛反対を食らいました。
それでも、なんとかしようと野田総理は直前に苦肉の策で「TPP交渉参加についての各国との事前協議」とニュアンスをかえて、アメリカをはじめ参加各国に表明しました。いかにも日本人的らしい「言葉の綾」です。
ところが、その「言葉の綾」は外国人には通じにくいようです。しかも官僚が作文を書いて事前にシナリオを書いたりするので、首脳の言葉は重要ではありますが、言葉はアドリブもあるので、事前の官僚の作文を正式表明と受け取られない場合もあります。
今回APEC後にそれが露呈しました。
以下衆議院議員・気象予報士斎藤やすのりBLOGから引用します。
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TPP交渉での嘘
ハワイでの日米首脳会談に関する米側の発表資料で、野田総理が『すべての物品、サービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』と述べたとされています。
これを外務省は『そのような発言を野田総理が今回の日米首脳会談において行ったという事実はない』と言っています。
しかし、日本テレビで13日に放送された『バンキシャ』にはこんな映像が‥。
カーク通商代表との会談を前に経産官僚と打ち合わせしている時の映像のようです。
別の映像からこの文章の全文が判明。
※米国 ロン・カーク通商代表
TPPについて
○TPPについて、国民的な議論の末、日本を発つ直前に、野田政権として交渉参加を決断した。
○震災復興が最優先される中、なぜ今決断するのか、との議論もあったが、TPPへの参加は、日本自身の利益であると判断した。
○第1に、TPPを、アジア太平洋全域を高いルールでカバーする地域秩序に育てること、そのプロセスに自ら関与することが、日本の国益である。
○第2に、高いレベルの自由化という試練を乗り越えることが、日本自身の成長力を高めることにつながる。
○日本は、非関税措置を含め、全の品目・分野を交渉の対象とする用意がある。交渉の中でしっかり議論していきたい。
○交渉に正式に参加するには、各国の承認が必要だと承知している。特に貴国との協議を精力的に進めて、出来るだけ早く交渉参加したい。今後の具体的な進め方について伺いたい。
これが政府・経産省が書いた文だと大変な問題だ。確かに野田総理は『すべてをテーブルに載せる』とは言っていないだろう。しかし、この文章を元に経済産業大臣が米国の通商代表に『すべてをテーブルに』と言ったのではないですか。だから、米国側は『野田総理は確かに言っていないが、政府は言っていたから、文章は訂正もしないし、削除もしない』のではないですか。
そもそも交渉の参加を前提にした協議参加表明ではないはず。これでは2枚舌外交と言われても仕方ない。私が政府に訴えているのは『今すぐに米国のホワイトハウスのHPを削除しろ』。削除させないのは我が国が『すべての物品、サービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』ことを否定しないことになり、交渉参加国に誤った情報を出すことになる。
TPPの議論にコミットしたばかりなのに、早速、交渉の場にいる人々が情報を隠し、嘘を言っているとすれば、こんなものは進めるべきではない。
以上引用終わり*********************************************************************************
この斉藤やすのり議員のブログの通り、間違って伝わっているのに訂正しないということは、政府の正式の意思として総理より官僚の作文が上位にあるということになってしまいます。これはゆゆしきことです。
総理と官僚がわかってやった可能性もありますが、どうやら野田総理は本気で「言ってない」と弁明しています。
野田総理の無知ぶりは、国会中継で佐藤ゆかり議員のTPPの中のISD条項に関する質問に「よく知らない」と答えたことでも露呈しており、国の命運を左右する総理としては完全に不適格と思われます。
まだまだ普通の日本国民の中にはTPPが単なる貿易協定と思っている人が多いようです。
実体は、国内法より協定を優先する治外法権で、米多国籍企業が日本国を訴えることもでき、さらにその判定を米が行うという、ひどい茶番の仕組みがTPPにはあります。
現にカナダはNAFTAで、汚染物質であるガソリン添加剤規制を撤廃され、日本もTPPでBSE牛検査規制撤廃や遺伝子組換作物表示義務撤廃など、国民の健康のみならず、地方経済・環境・文化・医療・サービス・雇用より企業の利益活動を優先するひどい協定です。
早ければ一年後には国会へ上程する可能性も高いのですが、それ以前にTPP交渉参加させないことを重点に、注目していきたいと思います。
(インターネットではあふれるような情報がありますので、ぜひとも新聞テレビだけではなく、インターネットでもお調べください。私も10/26の本ブログで語っていますので、よろしく)
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