経済のことはよくわからないが、何かを買えば誰かにそのお金が回り、その速度が速いと、より経済は活性化するということはわかる。その効果は日々の生活に必要なものに比べ、より高額な耐久消費財や不動産の方が、金額が大きい分その効果は大きい。たとえば食料品や衣服より、家電製品・車や住宅などの方が大きいといえる。
ところが世界的な景気の後退や、それ以前から始まっている所得の減少などにより、将来に対する不安を増大し、消費者は高額な買い物をするどころか、耐乏生活を強いられるようになった。貯金の取り崩しを避け、少しでも貯蓄に回そうとする。
企業も危機感から社員の給与を抑え、企業留保金を増大させ、これがまたさらなる景気の悪循環になっているのだ。
日本は国内では解決できないこの悪循環を、貿易拡大で切り抜けようと、民主党政権は官僚財界主導により突然TPPを言い出した。
これは主にアメリカに対して関税撤廃により農林漁業に壊滅的な影響を与えるのみならず、労働力の流入や金融・医療・弁護士などの規制がほとんど撤廃され、その影響は計り知れない。これを目論むアメリカは5年計画で対日貿易を黒字に転換しようとしているのであるから、日本社会への甚大なる悪影響を甘受しても、決して日本の貿易黒字が大きく拡大することはあり得ないことが見えているのである。
何よりも決定的なのは、農地などの荒廃は日本の自然や文化を破壊し、地方を疲弊させることが確実だからである。
そろそろ日本の将来を選択する大きな岐路に立っている。
すなわちこれまでの企業中心の成長発展社会をめざすか、人間の生活中心の、質素ではあるが生きがいを感じる社会に転換するか、である。
後者を選べば、収入はさらに減るが支出も減りいわゆるデフレになる。政府のみならず企業や学者など多方面から「デフレはダメ」というメッセージが強烈であるが、その理由は企業資産の目減りによる信用収縮や借入れ金返済が負担になる。政府としては国債などの償還、税収不足によりさらなる国債残高増大が見込まれる。
ところが一般の庶民は貯蓄の価値が高まり、退職者は年金の価値が上がり、生活にゆとりが出るので、むしろ楽になるかもしれない。また企業にとっても支出も下がるし投資金額も下がるのである。国債はほとんどゼロ金利(デフレ前提ならそれでも金利効果がある)にシフトするべく、必要なら法改正し、社会全体に改革を要することは間違いない。
先に「選ぶ」と申し上げたが、もうすでに何年も前からデフレの流れは始まっていて歴史的な趨勢は動かしがたい以上、それに対応した思い切った変革が必要とされている。
一時的には所得が下がるなど苦渋の選択だが、逆に海外の安い労働力流入にある程度歯止めがかかり、農業などが採算に合ってくるため、国土荒廃を防ぐことができる。食料品や生活関連商品やサービスが比重を増し、地方経済が活性化する可能性がある。
その全体像はまだまだ見えてこないが、戦後イケイケでやみくもに突き進んできて、ここにきて壁に突き当たり、無理やり壁を壊してついでに身近な地域社会まで壊して、さらなるイケイケで行くのか、ゆっくりだが持続可能な経済の仕組みを再構築するのか、落ち着いて考えれば正解は自ずと見えてくる。後者は一時的に経済の「発展」からは後退した様に見えるが、この方向は地に足がついた本当の人間の生き方を取り戻す新しい経済・社会の在り方を目指すものである。まさしくこれこそが本ブログの目指している「スローライフ」である。
具体的には生活のあらゆる場面で、「生活」そのものを楽しむことである。その楽しみは語らいやふれあい・音楽・行事など、人間同士の交流にあるもので、モノに存在するものではない。質素でも本当に楽しくなる。料理を楽しみ、ものづくりを楽しみ、楽器を奏で、おしゃべりを楽しむ。自分の職業により、身近な人たちに役に立ってもらう喜びを味わい、働く喜びを味わう。そんな身近なことから地域社会が再生する。決して難しいことではないような気がする。
これからも当ブログでは、そんな新しいが懐かしい社会を模索して行きたいと思っています。
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