最近のNHKの記事は批判がなく、政治や社会の出来事についての結果を「しかたがない論調」でまとめている。
これは本来の報道の在り方を大きく歪めている。社会を変えるためには強いムーブメントが必要で、そのために社会現象や事件あるいは政治のとっかかりの時点で、強い警告、そして継続的な啓発が必要である。
実際にやっていることはこの逆である。
瀬戸大橋の金属疲労による亀裂の記事を例にとりあげよう。
ここでは「開通当初は想定されていなかった」「ただちに支障はない」「すぐ下に鉄道が走っているため簡単には補修できず」「当時、道路橋では、金属疲労による亀裂は起きないだろうという考えが一般的だったので、配慮はされていなかった。」と無批判に当事者のコメントだけが羅列されており、ジャーナリストとしての姿勢が見えてこない。
最近笹子トンネル天井板落下事故があったばかりで、この事故についてはすでに4か月が経過しているにも関わらず、いまだに正式な報告と対策結果がなされていない。
国交省のHPには事故検討委員会の議論経過が報告されている。
トンネル事故の原因と目されている、吊りボルトの接着材アンカーについて、すでに2006年米国で事故が起きていることが報告されているので、本来すぐにでも報道し、関連あるアンカーの総点検を促すべきである。
これは官公庁ばかりでなく、民間でも膨大に使われている材料だ。その後にも使われて続けられていないか、現在は大丈夫か、過去の物件の対策は必要ないのか、そういう意味で「正しく怖れる」ことが大事なのだ。
NHKは、官僚や特殊法人・もと特殊法人などの大本営発表を、無批判に報道する姿勢をすぐにあらためよ。