2012年12月25日火曜日

日本の経済の行く末 問答

Facebookでの書き込みを転載します。

Q① 「巨大地震が好景気を招く」←貴殿は巨大厄災を歓迎する?国家機能喪失をどうする?、復興財源をどうするのか? 膨大な借金が残っているのに、さらに巨大な国債を誰が引き受ける?

A 歓迎するもしないも、心構えは必要。災害はないに超したことはありませんが、悲観的要素ばかりではないということ。
しかし東京都心に巨大隕石が降ってきたら、当然何年かは国家機能は喪失します。世の中には考えてもどうすることもできないこともあります。それくらいの事が起きたら復興財源も国債もあったものではありません。どの程度の災害に対してどの程度対策を考えるというですが、あまりにもここで議論するには問題が大きすぎます。

Q② 日本の財政構造を巨視的にみれば、国には膨大な借金があるが、民間にはそれを超える蓄えがある。これは、国と民間の富の配分が民間に片寄り過ぎる証左ではないのか?

A 個人には好景気時に蓄えた預金がありますが、最近は減少傾向。また企業は内部留保を積み上げこれが景気悪化・デフレの元凶となっています。その他に海外投資と政府の財政状況の合計はバランスしますので、さほど多くない海外投資を別にして、企業の内部留保増加分、政府の借金が積み上がります。(資金循環統計)
年間のお金の動きはバランスしますが、資産はこれまでの経済の動きの中で、国も個人も企業も資産を増やしてきました。(好景気時の資金の循環はすべてに資産を積み上げます。富の配分という言葉は当てはまりません。)政府は借金を減らすために、増税をし、企業は給与を減らすことにより、個人の資産を減らす動きを強めています。

Q③ 日本政府、官僚が、一貫して愚かな政策を続けているというなら、まさに、日本国家は愚かな途を歩んでいるのでは?
 
A 全くそのとおりです。官僚が省益だけ顧みる構造を変えられないことははっきりしていますので、政治家が正しい理念を示し改革を実行して、官僚をコントロールして、いい国に導かなければなりません。

Q④ 年金は確実に破綻するが、信頼に足る制度設計はどうなる?(年金破綻が見えてくるまでは、皆が心配せず安心感に浸っていた )

A これは私見ですが、一旦現制度は積立保険の様な形で、不平等を感じない範囲で精算し、失業保険・生活保護などとともに最低所得保証(ベーシックインカム)に一本化して、財源を勤労者と企業と高額所得者へ平等に福祉税と割り振ります。住居費以外の最低生活が送られる金額を算出し、住居のない人はほとんど無償で市町村が支給する、ローン残が残っている人、財産はあるが所得のない人などへの対応を合理的に算出します。

Q⑤ 景気が回復すればというが、不景気の原因は何なのか?

A 経済はお金の循環ですので、景気を回復するには循環をよくするべく最初のきっかけを作ってやればいいのです。それは「円安」で輸出産業の環境、「株高」で投資環境をよくし、「所得増」「減税」で消費を増やし、「新製品」で購買意欲を増やし、「再生可能エネルギー産業など新産業」創出で投資を増やす、さらに一時的に借金は増やしますが、インフラ更新など公共投資で需要を喚起します。
いまは構造的な大量生産・需要一巡によるモノ余りデフレによる資産価値減少、それによる投資環境悪化さらに将来不安から個人が消費を減らし貯蓄を積み上げるという悪循環で、不況が常態化しています。

Q⑥ 日本に代わって、中国が「世界の工場」と言われる程に成長した。当然に日本は空洞化したが、これは景気ではなく、構造変化では?

A 先のご質問の最後に「景気」の構造的要素に少しふれましたが、根本の問題は大量生産で内需一巡によるモノ余りと経済のグローバル化による、デフレにあります。内需生産を海外に移す事やTPPで安い労働力を流入させることは、デフレをさらに加速し、国内の雇用を激減させます。企業の収益に偏るのではではなく、国民の生活の安定が一番の目的ですので、これには国策で歯止めが必要です。

Q⑦ 景気循環論を信じ、税制だけを見ていたのでは解決されないのでは?製造コストの差は、減税のレベルを遥かに超えているのでは?

A 経済のグローバル化は国内外の所得水準を平準化させます。究極のデフレが起きれば、この問題は終息します。すなわち中国・ベトナム・アフリカ・東欧・南米諸国などと日本がほぼ一人当たり国民所得と為替相場と物価水準が同じになるでしょう。最後に残るのは移動による負担増だけの地域優位の「格差」だけで、あえて暴論を言わせていただければ、むしろ好ましいことかもしれません。しかし途中は痛みを伴います。特に資産家にその傾向が激しいのですが、企業はバランスシートの悪化による内部留保増大をさせ、ますます勤労者所得を減らす動きを加速します。生活をするという意味ではこちらの方が深刻です。
さらに金融や投資は縮小に向かい、すでに日本の企業はこれを拡大しなくなっています。

しかし究極の資産家=国際金融資本はこの流れを良しとせず、経済・国家権力・外交・軍事にアメリカ政府の力をバックに何か国際的な流れを作って、大きく変えようとしています。究極的な動きが東アジアにおける紛争です。

すでにアメリカの20%の国民は何らかの軍需産業に関わっています。さらにアメリカのドル基軸は自らドル紙幣米国債乱発により、破綻が見えてきました。
日本政府は米国債保有高を明らかにしませんが、最低でも300兆円、あるいは1000兆円あるという説もあります。

これまで輸出産業振興策による巨額な貿易黒字を招き、円高介入という形でどんどん積み上げてきた米国債は、アメリカにものを言うことができない日本政府のために、東日本大震災という未曾有の国難の時も売ることさえしません。

日本の国債破綻を問題にするより、こちらの問題により日本の被害を分析し、適切な対応を考えなければなりません。
右傾化対米従属の流れではなく、戦争反対し日本の国益にそってアメリカに発言する勢力はいつになったら、国民の支持を得られるのでしょうか。